2016/09/06
「初プレイゲームブック」アンケート@ツイッター
数日前(2016年9月1日〜3日)、ツイッターにて「初めてプレイしたゲームブック(及びタイトル)」についてのアンケートを実施した。ご投票およびリプして下さった皆様、誠にありがとうございました。深くお礼申し上げます。https://twitter.com/a2cmyarn/status/771179085120712704
アンケートは仕様上最大4択であり、どういう選択肢にするか大いに悩むこととなった。出版社別も考えたもののブーム当時は結構な数の版元がゲームブック(以下GB)刊行に携わっており、4種ではどうにも収まりきらない。
とりあえずブーム当時、人気のあったと記憶するプロダクトラインを「ファイティング・ファンタジー系」「グレイルクエスト(ドラゴンファンタジー)系」「エニックス(ドラゴンクエスト)系」に分類し、それ以外を「その他」としてザックリ纏めてしまった。この辺もうちょっと上手いやり方がなかったかと反省しきり…。
★★★★★
以下、お寄せいただいた当該GBタイトルを集計してみた。ご笑覧いただければ幸甚。
【ファイティング・ファンタジー系】28%

社会思想社「火吹き山の魔法使い」13票
社会思想社「運命の森」4票
社会思想社「バルサスの要塞」3票
社会思想社「死のワナの地下迷宮」3票
社会思想社「トカゲ王の島」1票
創元推理文庫「スティーブ・ジャクソンのソーサリー(巻不明)」1票
創元推理文庫「スティーブ・ジャクソンのソーサリー 魔法使いの丘」1票
創元推理文庫「スティーブ・ジャクソンのソーサリー 城塞都市カーレ」1票
創元推理文庫「スティーブ・ジャクソンのソーサリー 王たちの冠」1票
…やはり本家の風格か、『火吹き山の魔法使い』(84年)がダントツの結果となった。リビングストン描く前半のスリリングな潜入行・ジャクソン描く後半の大迷宮の奇跡的融合に、エンターテイメントの新時代を感じた方も多かったのではなかろうか。店頭でそれほど大きなキャンペーンを張っていた記憶はなかったが、いつの間にか自分の周りでユーザが増えていたのは、やはり口コミの強さだったのだろうか。
「ソーサリー!」(85年〜)を途中から始められた方もおられたが、考えたらどのタイトルも単独の冒険行として十分遊べる作りだ。すげえ。
【グレイルクエスト(ドラゴンファンタジー)系】7%

二見書房「暗黒城の魔術師」2票
二見書房「七つの奇怪群島」1票
…比較的早い時期(85年)にスタートし、GBブーム勃興の波を受けてか書店で見る機会も多かった。新書版のたっぷりしたボリュームはたのもしく、フーゴ・ハル氏のおどろおどろしいジャケ絵に誘われるように、自分も1巻『暗黒城の魔術師』を買った。こちら側に踏み込んでくるような文章スタイルは中々癖が強く、事象を淡々と描写するFFシリーズのそれとは好対照で、今でもファンが多いのもよく分かる気がする。
【エニックス系】22%

エニックス「ゲームブック ドラゴンクエスト(シリーズ不明)」2票
エニックス「ゲームブック ドラゴンクエストII(巻不明)」1票
エニックス「ゲームブック ドラゴンクエストIII そして伝説へ〈上〉勇者旅立つ」1票
エニックス「ゲームブック ドラゴンクエストIV(巻不明)」1票
…88年というブームもひと段落したあたり、GBを刊行する出版社としては最後発だったエニックスだが、国民的ソフトを堂々と掲げた本書は、若年層への訴求は鉄板中の鉄板だった。ソフト入手難の続いていた「3」の代替として、初めてGBというものを手にされた方もおられたかと思う。
いずれにせよ、GBの灯火を96年(!)まで永く燃やし続けたのは素晴らしい事績である。今でも「8」とか「X」を上梓したら結構イケるんじゃないかと思うんだけど。
【その他】43%
ポプラ社「ポプラ社の小さな童話 にゃんたんのゲームブック」5票

…5票という高い得票数は、GB(パズル本・クイズ本含む)が児童に読書を親しんでもらうための布石として有用であり、本書がその需要を果たした証左であると言える。表題作『にゃんたんのゲームブック』(87年)は未プレイだが、書評を読む限り様々な仕掛けを凝らした良作である模様。読みたい。
双葉社「高橋名人の冒険島-ティナを救い出せ!」1票
双葉社「スペース・ハリアー -ホワイトドラゴンの勇者」1票
双葉社・宝島社(いずれか不明)「リンクの冒険」1票
双葉社・勁文社(いずれか不明)「アルゴスの戦士」1票
小学館コロタン文庫「スーパーマリオ冒険ゲームブック」1票
JICC出版(宝島社)「迷宮組曲-新ミロンの冒険」1票

…バブル期だったとは言え、あの頃のファミコンソフトの値付けはメチャクチャだった。光栄のSLGとか当たり前みたいに万越えしてたし、好景気とは言えそんなもんポンポン買い与えられる家庭もそうある訳でもなかった…と思う。双葉社「ファミコン冒険ゲームブック」(86〜92年)レーベルなど、ファミコンGB諸作品が好評を持って迎えられ、永らく親しまれたのは至極もっともなことだった。
双葉社「ルパン三世/さらば愛しきハリウッド」1票

…85年というこれまた早い時期から参入した双葉社の人気シリーズ1作目。GBブームとしては末期の91年まで、なんと19作も続いたという事実は凄まじいものがある。
学研ジュニアチャンピオンコース「きみならどうする?(タイトル不明)」1票
学研ジュニアチャンピオンコース「きみならどうする? ゆうれい屋敷の冒険」1票
バンタムブックス「Choose Your Own Adventure(きみならどうする?)『ザ・ミステリー・オブ・ウラ・センケ』」1票

…1980年に学研から翻訳刊行された、まさにゲームブックの嚆矢と言える海外作品(ウラセンケは未訳。コレが初めてだったという方もすごい…)。本シリーズを挙げられた方は、恐らく私と同学年かもう少し上のお兄さんであろう。私事ながらジュニアチャンピオンコースシリーズは怪奇系の児童書が多く、ビビリの私は怖がってなかなか手を出さなかった。だもんで『きみならどうする?』も読んだことがない(笑)
秋元文庫「エスパーゲームブック 超能力者奪還せよ!」1票
角川書店「アドベンチャーゲームブック 魔界水滸伝」1票
西東社「シミュレーション・ブックス2 スーパーアクション・ゲーム ウォー・ゲーム」1票

…当時のGBブームに乗って書店に置かれていた作品群で、特に西東社のゲームブックは「完全犯罪ゲーム」などの独特のアナーキーなタイトルが多く、チープなペーパーバック感と相まって妙に記憶に残っている。
朝日ソノラマ「ハローチャレンジャーブック 騎士ローラン 妖魔の森の冒険」1票

…『火吹き山』邦訳に先立つ(!)国産作品で、普通の少年が危険な冒険に赴く幻想譚。タイトルを教えて頂いた時、本書を存じない旨をリプさせていただいたのだが、ググってみると…なんとなく表紙に見覚えが…本屋で見たんだったかなあ? 失礼しました。内容的には興味をそそられるので、機会があったらプレイしたい。
★★★★★
わずか3日間のアンケート期間ではあったが、多くの初プレイ作をお教えいただき、皆さんのGBというジャンルへの思い入れの深さを感じずにはいられなかった。
自分も同じ興奮を共にした一人として、その記憶を大事にしていきたいと思う。